桑畑洋一郎のブログ

自己紹介めいたものはhttps://yoichirokuwa.hatenablog.com/entry/2022/01/21/130841にて。

縁石を「育てる」という感覚

スケボー絡みのお話

スケボーを10代後半から始めて、やめたり再開したりやめたり再開したり…の繰り返しで、コロナ禍に入った一昨年くらいから運動不足解消のためまた始めてるんだけれども。

で、趣味だけでなく、研究テーマにもしたいかなと思って、今年度は論文を書いたりもして(3月に出る紀要に載る予定)。

どちらかと言えば研究寄りでスケボーを考える…みたいな話が今日のエントリ。

縁石

スケボーにはいろいろと技があるわけだけど、縁石だとかを使った、スライドトリック/グラインドトリックというのもあって。板や部品の一部を、縁石(とか手すりとか…)に引っ掛けて滑らせる技である。Youtubeで例を探したら以下のような感じ。上から順にグラインド(50-50グラインド)→スライド(ノーズスライド)。

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縁石を「育てる」

グラインドの方の動画でもわかるように(というかあえてそういう動画を選んだんだけど)、特にその辺の縁石でグラインドやスライド(特にグラインド)をするには、縁石にかなりワックスを塗り込まないとなかなか難しいわけである(スケートパークに設置してあるものもワックス塗りが必要だけど、まだまし)。摩擦係数が高くて滑らないから。

なので、その辺の公園だとかでグラインドやスライドをやりたいなと思った場合、ワックスを塗りたくり、かつ技をかけて縁石を削って滑らかにしていく。それも1回2回じゃそんな簡単に滑るようにならないので、ワックスを塗っては技をかけ、ワックスを塗っては技をかけ…の繰り返しで、縁石が滑るようにしていく。丁寧にやるなら↓の動画のような感じ。

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こういうプロセスを「育てる」と言うんだけど、育った縁石は下のような感じに。

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で、最近この「育てる」って概念が面白いなーと感じていて。

スケボーだとかをしない人にしてみたら、だんだん汚れていくプロセスなんだけど、スケーターからすると、成長していく=完成に近づくプロセスであり、真逆なんだよなーというのと。「焼き肉を育てる」みたいに、自分が管理≒所有して、自分が最終的に摘み取るものだって前提がある概念を用いてるんだっていうのが面白いな、というのと。その一方で、スケボーって基本(自分の家に設置した何かとかでない限りは)こういう縁石だとかは誰が使ってもいいものとする感覚があり、共同で育てた共有物的感覚もあるんだよなというのも面白かったり。

んでさらに、ちょっと話が変わってしまうけど、縁石の育ち具合を見て、「ここはスケーターがいるなand/orここのスケーターは上手だな」みたいな判断も(他所の)スケーターが出来たりする側面もあって。

 

縁石なんて、普通は花壇だとかを囲う境界線的役割がメインのものなんだけど、スケーターが見ると違った意味合いで見えてくるし、場合によってはスケーター同士の存在確認的なコミュニケーション手段にもなってる感じがしたりも。

 

結論

こういう、「その世界では当たり前のように通用する概念」を何となく詰めて考えてみると面白いな、という話。

 

ちょっと追記

ちなみに、山口大学でしばらく育てられてた縁石の写真が↓。1年くらい前に撮影したもの。もう学内ではスケボーが禁止されちゃってるので、今はスケーターを学内で見ることは(ほぼ)ないけど(残念)。

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